鍼灸師はもぐさをどのように使っているのか。
鍼灸師の井田です。今回は鍼灸師がお客様の身体にもぐさ据えて燃やすまでの一連の流れを解説します。治療院で治療を受けている時は寝ていて、実際どのようにもぐさを据えて燃やしているのか、よく分からない方もいるのではないでしょうか。
治療院によって違いはありますが、多くの治療院で取り入れられている方法を紹介します。
もぐさは大きく分けて2種類あります。
良質もぐさと粗悪もぐさの二つに分類されています。
良質もぐさ
香りが良い、柔らかい、肌触りがさらさらする。燃えやすい、火を通しやすい。熱が優しい(身体に芯を通すように熱が伝わり、リラックスする)色が肌色できれい
粗悪もぐさ
匂いが強い、硬い、ザラザラする。
燃えにくい、燃焼するまで時間がかかる。
熱が強い、やけどしてしまう可能性がある。
色は黒褐色で不純物を含む。
治療院でお客様の身体に据えられているのは、良質もぐさとなります。
粗悪もぐさは使われないのかと言うとそのような事は無く、鍼灸院で灸頭鍼(きゅうとうしん)といった粗悪もぐさを用いた治療法で使われています。
また中国では強い刺激の鍼灸治療を好むことから直接身体に据えて使われることがあります。
もぐさを据えて燃やすまで
・線香に火をつける
もぐさは線香で燃やします。
線香を用意してライターで火をつけます。
線香が燃えたのを確認したら、軽く線香を払います。
燃えてる線香の先で、もぐさを燃やします。
鍼灸院では燃やした線香は水を入れた灰皿の上に置き、治療が終わった後に水に浸して、線香の火を消しているところが多いです。
・もぐさ小さく作る
もぐさを指で捻りながら1〜2センチくらいの円錐形の形で作ります。底面を出来るだけ平らにすることで安定して据えることができます。
もぐさを据えたら線香で燃やしていきます。
・一つ目は燃え切る前に火を消す。
もぐさを燃やし始めたら、お客様が熱を感じたタイミングで指で挟むようにして、火を消します。燃やし切ってしまうと皮膚に強い熱が伝わってしまうためです。
この大きさの良質もぐさですと、指で挟む際に熱感を感じますが、火傷の心配はありません。
・燃やしたもぐさを潰して新しく灸を据える。
最初に燃やしたもぐさを潰して、その上に新しく灸を据え、さらに燃やしていきます。
そうすると最初に据えたもぐさよりも、安定感がぐっと上がります。
また潰したもぐさが熱を和らげる役割を果たすので、熱刺激も心地よいものになります。
お灸を据えすぎると「灸あたり」と呼ばれる
立ちくらみやめまい、怠さといった症状を引き起こすことがあるため、最初は、数ヶ所にそれぞれ3壮ほど据えていき、慣れてきたら必要に応じて増やしていきます。
今回は以上になります。このブログを読んで、鍼灸治療についてより関心を持っていただけると嬉しいです。